ある方の誕生日を祝して



ぼろぼろな駝鳥

 何が面白くて駝鳥を飼ふのだ。

 動物園の四坪半のぬかるみの中では、

 足が大股過ぎるぢゃないか。

 頚があんまり長過ぎるぢゃないか。

 雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるぢゃないか。

 腹がへるから堅パンも食ふだらうが、

 駝鳥の眼は遠くばかりを見てゐるぢゃないか。

 身も世もないように燃えてゐるぢゃないか。

 瑠璃色の風が今にも吹いてくるのを待ちかまへてゐるぢゃないか。

 あの小さな素朴な顔が無辺大の夢で逆まいてゐるぢゃないか。

 これはもう駝鳥ぢゃないぢゃないか。

 人間よ、

 もう止せ、こんな事は。

     (高村光太郎-「道程」より


大好きな高村光太郎の詩です。
「知恵子抄」を中学時代に読んでファンになり、高校から彫刻に魅かれその道を進み、より深く愛するようになりました。

私は小さい時に一度動物園にいったっきり、あとは大人になっても一度だけ。行くたびに落ち込んで悲しくなって帰ってきました。


どうしてあんなとこに閉じ込められているのだろう・・・


もし仮に宇宙人が来て、突然私を捕まえ、家族から引き離し、どこかに連れて行かれてたら。

戸建ての大きな庭付きの家を与られ、食べ物はいつもあるけれど、いつも誰か覗いている。家に隠れたいけど、みんなに見えるところに昼間は引き出され、そこにいるしかない。

戸建て庭付きだとしても、決してそこから出られない。
暑い寒いの環境も以前とは違う。
友だちも家族もいない。

こんなことがあったら発狂してる。自殺してる・・・

もっと狭いトコに閉じ込められることも珍しくない。
四畳半一間だったり、床はコンクリート。

夜だってナイトウォッチとかいって、誰かの声がいつもしている処もある。
ヘンなモノを投げつけられたり、奇声が聞こえることも・・・

病気になって死ぬ時は、せめて、せめて、もう一度、あの故郷に帰りたい・・・みんなに会いたい・・・薄れゆく意識の中で、きっと泣きながら死んでいく。


教育のため、種の保存のため・・・

色々理由はあるでしょう。
だけど、それは動物には関係ない。
人間の都合・人間のため。

それならば、せめて、せめて・・・!
すべての施設が、その動物が元居た環境になるべく近い形を整備して、ストレスが極力かからないよう配慮してあげて欲しい。

土があり、木があり・・・

彼らは昔から、そういう環境で育ってきたのだから。

せめて・・・

そうじゃないと、「人間」でいるのが恥ずかしい。申し訳ないです。


動物園のパブリックコメントが出されました。


これを考えている人たちが

「もし、自分の子供や孫が、こんな生態展示をされるとしたら・・・」

と、その視点から考えてもらえれば、おのずとどうしたらいいのか、が頭だけではなく、心を通して考えられ、答えがでると思います。

扱うのは博物館に展示されている「モノ」ではありません。
「命」なのですから。

動物園を見るたびにこの詩を思い出します。
もうはるか昔に書かれたこの詩。

これは感傷的にいっているのではなく、今の現実世界すべてだと思う。

人間にも地球にもあてはまる。
みんな、ぼろぼろになりかけている・・・

どこかでなにかをして、止めないと・・・

それはLOVEであったり、PEACEであったり・・・






あと少しで誕生日を迎えます。

その日に向けて大好きな詩を紹介していこうと思います・・・
最近、心ふさぐことが多かったから。




マイミクさんの転載です
★動物園も関係するパブコメ
文部科学省で23日まで博物館制度についてのパブコメ。文部科学省のサイトを見ていて知りました。

中間報告の文案を見ると、博物館相当施設としての動物園の登録について、特別基準の必要性について言及しているところがあります。

いま思いついたのは

・動物園、水族館については、動物福祉にとりくんでいない施設が登録されることのないよう厳しい基準が必要だ

とかですが、他にも何かありましたら、意見を送ってください
よろしくお願いいたします

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000255&OBJCD=100185&GROUP=

意見募集中案件詳細

案件番号 185000255
意見募集中案件名 「新しい時代の博物館制度の在り方について」(中間報告)に関する意見募集の実施について

意見・情報受付締切日 2007年4月23日

所管府省・部局名等(問合せ先) 文部科学省生涯学習政策局社会教育課 電話:03-5253-4111(内線2093)

-----以下、中間報告より引用-------

(4)新しい登録基準の骨格

1)基本的考え方

第3 章2(2)の4 つのポイントに基づき、館の特性に応じたきめ細かな審査ができるような基準を用意することが必要であり、

①すべての館に適用する共通の基準(共通基準)

②加えて、動物園や水族館においては、生物を資料として取り扱うことから、育成等他の博物館にはない機能が必要であるように、館種や設置目的等の違いに配慮した特別な基準(特定基準)の双方が必要であると考えられる。
共通基準のレベルの考え方としては、以下の点を踏まえて作成されるべきである。

①現行制度における登録博物館の基準を基礎として、後述するようなきめ細かな基準の適用を検討し、当該基準を満たす博物館相当施設及び博物館類似施設ができるだけ多く、登録博物館となり、登録を受けることをスタート点として、今後一層の質の向上を図れるような制度設計とする必要がある。このため、共通基準は定期的に見直しを行い、段階的に引き上げる等、そのレベルの向上を図ることも考えられる。

②小規模館であっても新しい登録制度の対象となるよう、規模にかかわらず、博物館として満たさなければならない基準を示すことが望ましい。

③共通の基準を定めることで、博物館の多様性を奪うものであってはならず、各博物館が各館の使命・目的に応じて目標とすべき博物館像を設定し、それに向けた努力を後押しできるような基準とすることが望ましい。

(中略)

4)審査項目

上記、3)「基準の内容」を基礎として、さらに、①経営責任・館長・職員、②倫理規定、③利用者・地域、④展示、⑤教育普及、⑥学芸員その他の職員、⑦調査
研究、⑦資料・コレクション、⑧財務・施設等の観点から、より具体的な基準を検討していく必要がある。

加えて、上記の基準を考えるに際しては、登録博物館として活動していくために必要な他制度との連動など、博物館が積極的に登録制度を活用し得るための環境整備等について配慮すべきである。(例えば、動物園の登録基準を考えるに際しては、学習支援の点ばかりではなく、動物愛護や希少動物の保護といった観点を加えるなどが考えられる。)
by jiro_saty | 2007-04-22 07:03 | みっちゃんのツイート